昔の子供たちは自分の部屋を持つことが夢でした。今も都内などの団地住まいの方はそうかもしれません。
印象として地方に行けば家屋も大きく、子供部屋もあるだろうと思いがちですが、大きいのは座敷だったり客間だったりで、しかも3世代同居が3~40年前までは当たり前だったので、子供が部屋を与えられるというのは特別でした。一部屋を数人の兄弟で使うのも当たり前でしたし、今はあまり見かけなくなった、二段ベットなんて言うのもありました。上の段にするか、下の段にするかでけんかになった思い出をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

ただし、部屋を与えられる特別な存在があります。それが「受験生」です。その昔は受験生というと腫れ物に触るような存在に感じたものです。今でこそ少子化が騒がれ、定員割れの高校、大学は多くなりましたが、当時は定員割れのところはあまりなく、定員割れの学校は、地域の人口が少ないなどではなく、単に人気がない学校というイメージです。
それが故、受験生には一部屋を与えられ、しっかり勉強させられたものです。でも当の本人は、部屋をもらえてラッキー、くらいの感覚だったのではないでしょうか。

そして受験と言えば、冬。一部屋与えられると、こぞってこたつを持ち込み、ポットとコーヒーを持ち込む、ちょっと大人になった気分です。コーヒーを飲みながら深夜まで猛勉強です。時折、オールナイトニッポンに聞き入ってしまい、思わずペンが止まる、なんていう経験もあったと思います。

一昔前の受験は、子供に一部屋与えるようになるきっかけでもありました。無事受験に成功すれば、それからは自分の部屋で青春の始まりです。アイドルのポスターを張ったり、部屋の模様替えをしたり。時代ごとに受験における環境は違うと思いますが、ちょっと自分の時代はどうだったかを振り返ってみるのいいのではないでしょうか。