英語長文は1行目から読まず設問先読みが基本。時間が足りない根本原因、返り読みを卒業するスラッシュリーディング、大問ごとの時間配分、設問タイプ別の解き方まで整理します。
この記事でわかること
- 長文を1行目から読み始めない「設問先読み」の手順と、時間が足りなくなる根本原因
- 返り読みを卒業するスラッシュリーディングと、英語の語順のまま意味を取る練習法
- 大問ごとに何分かけるかの試験時間配分(共通テスト英語Rを例にした目安表)
- 言い換え・指示語・段落構成を使った設問タイプ別の解き方
- 速読を狙って多くの受験生がやりがちなミスと、その回避策
公的情報源: 大学入試センター「共通テスト 問題・正解」(参照)
読み方の前に「読む土台(基礎文法・単語)」から固めたい方へ。スタディサプリの英語講座は長文の前段にあたる構文解釈を映像で復習できます。
結論を先に書きます
英語長文で時間が足りない人の多くは、読むスピードではなく「読み方の順番」と「時間の使い方」でつまずいています。1行目から全文を訳し、設問を見て本文を探し直す——この往復が時間を溶かす最大の原因です。
先に設問を見て読む場所を絞り、意味のカタマリで前から読み、大問ごとに使う分数を決めておく。この3つを変えるだけで、同じ読解力でも解き終わる量は大きく変わります。
- 長文は設問→本文の順で読み、探し直し(返り読み)をなくす
- スラッシュリーディングで前から意味を取る=速読の土台
- 大問ごとに制限時間を先に決める(1問に固執しない)
- 言い換え・指示語・段落構成を解法の武器として使う
この記事は、長文読解の「解き方・速く読む技術・試験本番の時間配分」だけに絞って整理します。単語の覚え方や文法のやり直しといった英語全体の勉強法は、別記事の英語の勉強法(偏差値40からの基礎固め)で扱っています。本記事は「読む土台はあるのに、長文で点が伸びない・時間が足りない」人向けです。
英語長文で時間が足りなくなる3つの原因
長文対策の前に、まず「なぜ時間が足りないのか」を切り分けます。原因が分かれば、打つ手も変わるからです。時間切れの背景は、大きく3つに分けられます。
- 返り読み(後ろから訳し上げる読み方)が抜けていない
- 設問を後回しにして、本文を何度も探し直している
- 1問に時間をかけすぎて、後半の大問に手が回らない
原因1:返り読みで読むスピードが頭打ちになっている
英文を「後ろから日本語の語順に直して訳す」読み方を、返り読みと呼びます。短文なら問題ありませんが、長文では1文ごとに視線が前後に往復するため、読む速度が頭打ちになります。
返り読みが残っていると、語彙力や文法力を上げても読解スピードは伸びにくいものです。速読の前提は、英語を英語の語順のまま処理できること。ここは後述のスラッシュリーディングで矯正します。
原因2:設問を後回しにして本文を探し直している
全文を読んでから設問を見ると、「この内容はどこに書いてあったか」をもう一度探し直すことになります。この探し直しが、体感以上に時間を奪います。
設問を先に把握しておけば、読みながら「ここが問われる場所だ」と当たりをつけられます。読む回数が実質1回で済むかどうかが、時間配分を左右します。
原因3:1問に固執して後半が時間切れになる
難しい1問に5分かけて、結局カンで埋める——これが最ももったいないパターンです。配点は1問ずつほぼ同じなのに、難問1問のために易しい3問を捨てている状態だからです。
時間が足りない人ほど「分からない問題に粘る」傾向があります。本番は「解ける問題を確実に取る」ゲーム。だからこそ、大問ごとの制限時間をあらかじめ決めておく必要があります。
コツ1:設問を先に読んで「探す場所」を絞る
長文読解で最初に変えるべきは、読む順番です。本文より先に設問へ目を通す。これだけで返り読み・探し直しが減り、大幅な時短になります。
設問を先に読むと、長文を読むときに「どこを重点的に読むか」というアンテナが立ちます。答えに関係ない部分を速く読み飛ばし、重要な部分だけを精読できるようになります。
設問先読みの手順
- 設問(Question)に先に目を通す:何が問われているかを把握する
- 問われている情報をメモ:人物名・理由・場所・数値など「探すもの」を頭に入れる
- キーワードを覚えてから本文へ:固有名詞や数字を目印に読み進める
選択肢まで全部読むと、かえって情報過多になります。先読みするのは設問文(問いの部分)までにとどめ、選択肢は本文の該当箇所を読んでから照合するのが現実的です。
設問の語句がそのまま本文に出るとは限りません。本文では別の単語に言い換えられていることが多いので、「同じ意味の表現を探す」つもりで読むと精度が上がります(言い換えはコツ3で詳しく扱います)。
コツ2:スラッシュリーディングで前から読む
長い英文に圧倒される人ほど、意味のカタマリごとに区切って読むスラッシュリーディング(区切り読み)が効きます。返り読みを卒業し、速読の土台を作る練習法です。
やり方はシンプルで、意味の切れ目に「 /(スラッシュ)」を入れて読み進めるだけ。1文を小さなカタマリに分ければ、長い文も理解しやすくなります。
スラッシュを入れる位置の目安
どこで区切るか迷う人向けに、入れやすい位置を整理します。最初はこの目安に従い、慣れたら自分の呼吸で区切って構いません。
| スラッシュを入れる位置 | 例(区切りのイメージ) |
|---|---|
| 主語(S)と動詞(V)の間 | The students / studied hard. |
| 前置詞(in / on / at / with…)の前 | He arrived / at the station. |
| 関係代名詞(that / which / who)の前 | the book / which I bought |
| 接続詞(and / but / because)の前 | I was tired, / but I kept going. |
| to不定詞・コンマの前 | He ran / to catch the train. |
本番でSVOCを細かく書き込むのは時間がかかります。意味の切れ目にスラッシュを引くだけで十分。簡略化が速読の鍵です。
「英語の語順のまま」理解する練習
最初は全文を区切るのに時間がかかりますが、練習を重ねると英語を左から右へ、語順のまま理解できるようになります。これが返り読みからの卒業です。
練習は2段階で進めると定着しやすいものです。
- 第1段階(精読):時間をかけてよいので、全文にスラッシュを引き、カタマリごとに意味を確認する
- 第2段階(速読):一度読んだ文章を、スラッシュなしで前から戻らずに読む。意味が取れる速度を少しずつ上げる
同じ文章を何度か音読すると、語順のままの処理が速くなります。新しい長文を毎回読むより、一度解いた文章を「速く正確に」読み直すほうが速読力は伸びやすい、という点は覚えておいて損はありません。
コツ3:言い換え(パラフレーズ)を見抜く
英語の文章には、同じ単語の繰り返しを嫌うという性質があります。筆者は同じ意味でも、あえて違う単語で表現します。この言い換えに気づけるかどうかが、正解を選ぶカギです。
たとえば「調査」という話題なら、文章の進行とともに単語が変化していくことがあります。
- 前半:research(研究・調査)
- 中盤:survey(調査・概観)
- 結論:investigation(取り調べ・精査)
知らない単語が出てきても、焦る必要はありません。「前の文のあの語の言い換えだ」と推測できれば、おおよその意味はつかめます。
選択肢も「言い換え」で作られている
注意したいのは、選択肢の文章も本文の単語をそのまま使わず、言い換えているケースが非常に多い点です。本文と選択肢で表現がずれているからといって、不正解とは限りません。
逆に、本文の単語がそっくりそのまま入った選択肢は、ひっかけの可能性を疑う場面もあります。語句の一致ではなく、意味が合っているかで判断するのが正攻法です。
コツ4:指示語(it / this / that)の中身を特定する
長文読解で頻出するのが「下線部のitは何を指すか」という指示語問題です。指示語が何を指すかを意識しながら読むことは、設問対策だけでなく、文脈を見失わないためにも欠かせません。
あくまで傾向ですが、指示語が指す距離感には目安があります。
| 指示語 | 指す対象の距離感 |
|---|---|
| it | 直前(とても近い)の単語や句を指すことが多い |
| this / that | 少し離れた語、または前の文章全体の内容を指すことが多い |
| these / those | 直前に挙げた複数のもの・概念を受けることが多い |
「なんとなく」で読み進めず、指示語が出てきたら「これはアレのこと」と中身を確定してから先へ進みます。矢印を引いて結ぶイメージを持つと、文脈のズレに早く気づけます。
指示語の特定がうまくいかないときは、たいてい直前の文の主語・話題を取り違えています。指示語の前に戻り、「今この段落は何の話をしているか」を確認すると修正しやすくなります。
コツ5:文章の「型(構成)」を知って展開を予測する
国語の現代文と同じく、英語の長文にも「型」があります。大きく分けて「論理的な文章(評論・説明文)」と「物語的な文章(エッセイ・小説)」の2種類です。構成パターンを知っておくだけで、展開が予測しやすくなります。
論理的な文章(評論・説明文)
多くの評論・説明文は、次の3パートで構成されます。
- 序論(Introduction):テーマの提示・問題提起
- 本論(Body):具体例・データ・反論への対処
- 結論(Conclusion):筆者の主張・まとめ
論理的な文章では、序論と結論を押さえれば筆者の主張の大半はつかめます。本論は具体例が中心で、主旨を取るうえでは速く読んでよい場面もあります。各段落の最初の1文(トピックセンテンス)に主張が来やすいので、そこを拾うのも有効です。
物語的な文章(エッセイ・小説)
物語は「起・承・転・結」で動きます。特に「転(トラブル・変化)」の部分に設問が絡みやすいのが特徴です。心情の変化や場面の転換を示す語(however, suddenly, but など)に注目すると、設問の根拠を見つけやすくなります。
逆接や対比を示すディスコースマーカー(however / on the other hand / in contrast など)は、どちらの型でも重要です。筆者の主張が切り替わる合図なので、印をつけながら読むと論の流れを見失いません。
試験本番の時間配分(共通テスト英語リーディングの例)
ここまでの読み方を本番で活かすには、大問ごとの制限時間を先に決めておくことが欠かせません。1問への固執が後半の時間切れを生むからです。共通テスト英語リーディング(80分・大問6つ前後)を例に、配分の目安を示します。
| 大問 | 内容の傾向 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 第1〜2問 | 短め・告知文や図表中心 | 各5〜7分 |
| 第3〜4問 | 中程度・複数資料の照合 | 各10分前後 |
| 第5問 | 物語・伝記など長め | 12〜15分 |
| 第6問 | 説明文・要点整理 | 15分前後 |
| 見直し | マーク確認・保留問題 | 5分 |
数値はあくまで目安です。実際の構成や難度は年度で変わるため、最新の問題は大学入試センターの公表問題で確認してください(大学入試センター 過去の試験情報)。
配分を守るための3つのルール
時間配分は「決める」だけでなく「守る」仕組みが要ります。本番で崩れないための運用ルールを整理します。
- 大問ごとに開始時刻をメモ:問題用紙の端に「第3問=開始20分」のように書く
- 制限時間で一度切る:時間が来たら今の選択肢を仮マークし、次へ進む
- 保留問題に印:後で戻る問題に△をつけ、見直し時間でまとめて処理する
「解ける問題を全部取る」が時間配分の目的。難問で粘って易問を落とすのは、配点上もっとも損です。1問あたりの上限時間(目安2分)を超えたら、いったん飛ばす勇気を持ちましょう。
やりがちなミスと回避策
最後に、速読を意識した受験生が陥りやすい失敗を整理します。速く読むことが目的化すると、かえって失点が増えるからです。
ミス1:速く読もうとして精度が落ちる
スピードを意識しすぎると、設問の根拠を本文で確認せずにカンで選んでしまいます。速読は「読み飛ばす技術」ではなく、重要な部分を見極めて、そこは精読する技術です。緩急が要点です。
ミス2:知らない単語で止まってしまう
1語が分からないだけで読みが止まると、時間も集中力も削られます。長文では、知らない語は前後の文脈と言い換えから推測して読み進めるのが基本。試験中は完璧を捨て、大意をつかむことを優先します。
ただし、これは本番の話です。練習中に知らない単語が出たら、面倒がらずに調べて覚える。推測には限界があり、その限界を上げるのが単語力です。
ミス3:設問の指示文を読み飛ばす
「本文の内容と一致するものを選べ」なのか「一致しないものを選べ」なのか。指示文の読み違いは、正答できる問題を確実に落とします。設問の条件(NOT・EXCEPT・most likely など)に線を引くだけで防げるミスです。
ミス4:選択肢を全部「ありえそう」と感じてしまう
長文の選択肢は、本文の言い換えと巧妙なひっかけで作られています。「言っていそう」ではなく「本文に根拠があるか」で消去するのが鉄則。根拠の段落・行を特定できない選択肢は、原則として選びません。
よくある質問
英語長文の解き方について、受験生から多い質問をまとめます。
Q1:設問を先に読むと、かえって混乱しませんか?
設問を「すべて」覚えようとすると混乱します。先読みするのは問いの内容(何を探すか)までで十分です。選択肢は本文の該当箇所を読んでから照合します。最初は1〜2問ずつ確認しながら本文を読む形でも構いません。慣れると全設問を把握してから一気に読めるようになります。
Q2:スラッシュリーディングは本番でもやるべきですか?
本番では最小限にします。練習段階では全文に区切りを入れて精読しますが、試験では意味が取りにくい1〜2文だけスラッシュを引けば十分です。普段の練習で前から読む処理が身についていれば、本番では区切りなしでも前から読めるようになります。
Q3:長文を速く読む練習は、どんな教材ですればいいですか?
一度解いた文章の読み直しが効果的です。新しい長文を毎回読むより、答えと構造が分かっている文章を「速く正確に」読み返すほうが、語順のままの処理が定着します。過去問や問題集の長文を、音読を交えて2〜3回読み直すのがおすすめです。
Q4:時間配分はどのくらい厳密に守るべきですか?
「上限を超えたら一度飛ばす」が守れていれば十分です。分単位で完璧に守る必要はありません。大事なのは、難問1問のために後半の易問を落とさないこと。問題用紙に大問ごとの開始時刻をメモし、上限を超えたら仮マークして次へ進む運用にすると、本番で崩れにくくなります。
Q5:単語力と読解テクニック、どちらを優先すべきですか?
土台は単語力です。知らない語が多すぎると、どんなテクニックも推測の限界を迎えます。とはいえ、単語が一定量入っているのに点が伸びない場合は、本記事の読み方・時間配分で大きく改善します。基礎単語が不安な人は、まず単語と基礎文法を固めてから読解テクニックに進むのが近道です。
Q6:返り読みのクセがどうしても直りません。
速度を一度落とすのが近道です。速く読もうとするほど、慣れた返り読みに戻ります。最初はゆっくりでよいので、スラッシュで区切った文を「前から、戻らずに」読む練習を繰り返します。同じ文章の音読を重ねると、語順のままの処理が体に入っていきます。
まとめ:読み方と時間配分を変えれば、同じ実力でも点は伸びる
英語長文で時間が足りない悩みは、読解力そのものより読む順番と時間の使い方で大きく改善します。最後に要点を整理します。
- 設問を先読みして、本文の探し直し(返り読み)をなくす
- スラッシュリーディングで前から意味を取り、速読の土台を作る
- 言い換え・指示語・段落構成を解法の武器として使う
- 大問ごとに制限時間を決め、1問への固執で後半を落とさない
- 速読は読み飛ばしではなく緩急(飛ばす所と精読する所の見極め)
まずは次の過去問演習から「設問を先に見る」ことだけでも試してみてください。読み方を1つ変えるだけで、解き終わる量は確実に変わります。
なお、読み方の前提となる基礎文法・構文解釈・単語に不安がある場合は、土台から固め直すほうが結果的に近道です。基礎のやり直しは英語の勉強法(偏差値40からの基礎固め)で、映像授業を使った効率的な復習法はスタディサプリの評判・使い方でそれぞれ整理しています。
免責事項
※本記事は受験勉強法に関する一般的な整理です。学習効果には個人差があり、合格を保証するものではありません。試験の出題形式・配点・制限時間は変更される場合があるため、最新情報は大学入試センター等の公式発表をご確認ください。
